証券会社と銀行のどちらから投資信託を買えばいいのか
資産運用に関して、初心者がまず投資信託を買おうと考える時、一番悩むのは、銀行から購入するほうがいいのか、それとも証券会社から購入するのがいいのか、ということです。
明確な違いがないために、どちらでもいい気がしてしまいます。
しかし、投資信託が販売された当初は証券会社のみで売っていました。
その後金融自由化の一環として、銀行でも投資信託を売れるようになりました。銀行は預金客を沢山抱えているので、投資信託を売るのはうってつけです。銀行の販売員はノルマもあるので、とにかく必死です。しかも販売手数料を高めに設定して、複雑な説明を意図的にすることで、知識の少ない初心者をカモにして、かなりの売り上げを投資信託販売手数料であげたのは記憶に新しいと思います。
投資信託の初心者にとって、銀行でも証券会社でも、購入単位が少額だったらあまり違いがないと思われるかもしれません。しかし、証券会社には投資信託の種類が豊富なのと、その分手数料も安くできるので、一般的には証券会社から買う方がまだましといえるでしょう。
また分配型の商品を選んで毎月分配金をもらう場合は、分配金が銀行で買えば普通口座に、証券会社で買えば証券口座に振り替えられますので、簡単に引き出して使うには銀行から買って普通口座に入金してもらうほうが便利です。
もっとも、少額でも購入することができる投資信託に限って分配金など、いかにも毎月増えているような錯覚をおこさせるような商品は特に多いので、単に少額から始められるとか、毎月分配金があるからとか、そのような理由で投資信託を購入することだけは絶対に避けるべきでしょう。
グローバルソブリンは今も昔も日本で最大級にうれた投資信託として有名な商品ですが、これも毎月分配型の形をとり、運用資金そのものが増えていなくても、毎月分配金が集まった資金から削られ支払われていました。
これを投資信託初心者の購買者たちが、さも利益から分配金が発生していると勘違いをし、運用期間が終わった後にもどった元金が大幅に減少していることに気づき、近年ではそれにまつわる訴訟も増えています。このように、投資信託は常に情報弱者が損をする世界であるので、心の底から注意が必要といえます。
なにより、投資信託は販売員を含めだれも最終的な責任をもちませんし、運用者と直接話す機会もないために、なんとなく買ってなんとなく分配金が振り込まれることになります。そのため運用成績がふるわなくても、その説明については報告書だけで顔が見えません。
本気で資産運用を考えるなら証券会社がどこがいいか探すよりも、少額でできるかどうかよりも、顔の見える運用者と直接相談しながら資金を預けることをお勧めします。
とはいえ、もしも投資信託を購入すると決めてしまったならば、証券会社より銀行よりも、ネット証券で商品を買うことが一番コストがかからないことは確かです。