ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)は世界の高配当・公益株式に注目して投資を行っている投資信託です。
一時は非常に人気が出て3兆円に迫ろうかという純資産額を積み上げましたが、今は1兆円を割り込むファンドへと姿を変えました。
公益株式とは、一般的に電気やガスや水道などのライフラインに関わるものが中心で、通信や運輸や廃棄処理まで、人々の暮らしを支えている企業の株式を言います。
こういった企業の株式は、成長が弱いながらも配当に力を入れている企業が多いことから高配当銘柄であるとの特徴があり、人々の暮らしに密着している業種であるため業績が安定的だと思われています。
人気が出ていた背景には、人の暮らしに必要なものを扱う企業に的を絞って投資をしていることが、安心感を求める投資家層にフィットしたことがあり、毎月分配金を貰えることで火が付いたと推測できます。
分かり易いコンセプトであることは、否定のできないところでしょう。
確かに安定的な運用が期待できそうに思えます。
それでは、実際の運用がどうだったについてです。
このピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)は、急落や暴落に強いことを前提としながら、高配当をもらえることが魅力でしたが、実際に暴落を経験すると同じようにこのファンドも暴落していきました。
株式は売りたい人が多ければ下がり、買いたい人が多ければ上がるという基本要素を持っています。
いくら公益株でも、それに抗うことはできず、相場全体の影響は受けてしまうということが改めて示された格好となりました。
これには理由があります。
確かに公益株の過去の動きは優秀でした。しかし、それに気付いた投資家は段々増えていき、それと同時に同じコンセプトのファンドも新規設定されていくようになったため、相場全体の影響を受け易くなったのです。
過去には資産株として家宝のように保有している投資家が多かった公益株も、安定性と高利回りの魅力に着目した変動資金が入ってくるようになり、過去の動きと現在の動きは大きく変わってきています。
それの証拠として、株式市場が大きく戻っている状況のなかでこのファンドの純資産が戻っていっていない事実があります。
そうなると、次の課題も見えてきてしまいます。
安定した収益構造を持っている公益株は、上昇時にも安定してしまう側面を持っているため、株価の平均が上がっていく時の上昇幅が小さくなってしまいます。
誰でも景気が回復している局面では、利益をどんどん伸ばしていく企業に投資をしたくなるものです。
上昇が鮮明になった環境下では、業績の大幅な上昇が期待し辛い公益株式に魅力を感じる投資家は少ないでしょう。
以上の理由で、暴落時に期待した安定感を出せず、上昇時に大きな値上がりが期待し辛い投資信託として、旬は過ぎた感じを受けます。
暴落する時は誰にも分かりませんので、利益が取れる時にしっかり取っておかないと、トータルした投資成果がマイナスになってしまうことは、容易に想像できるところです。
そもそも株式型で毎月分配していこうとすることが間違いであるとの見方もあるファンドですので、買い付けを検討するならよくご検討されることをお勧めします。