米国ハイイールド債券ファンド 豪ドルコースは、アメリカのハイイールド債に実質的に投資をしている毎月分配型の投資信託で、為替取引によって豪ドル建てで持っているのと同じような状況を作り出すことで、為替益も狙った投資信託構成になっている投資信託です。
このファンドは、他に円コース・米ドルコース・南アフリカランドコース・ブラジルレアルコースが用意されており、信託財産留保額という名称の解約手数料0.3%を支払えば、通貨コースを変えることが可能となっているのが特徴です。
少しわかりにくい商品ですので、完全に理解して買い付けを行っている投資家は少ないものと考えられます。
ざっくりと理解しようとすれば、アメリカの中の格付けが低い高利回り事業債に、5つの中から通貨を選んで投資をする投資信託だと思うのが一番早いのですが、買い付けを検討されるのなら、しっかり目論見書を読んで理解することは必要ですので、現段階ではざっくりイメージを持ってください。
毎月の分配金利回りが非常に高いのが特色で、年率換算20%を超えています。
要因は大きく二つです。
格付けを落として利回りを上げていることと、豪ドルの為替益を分配金に含んでいることです。
しかし、高利回り事業債への投資で利回りを上げているとは言え、組み入れ銘柄の平均利回りは7%程ですので、このファンドがこのまま現状の分配金利回りを継続していくには、今後も長期的に円安豪ドル高が続かない限りは無理です。
通常は、見込める金利収入を基に分配金を決めるのが公式的な考え方なはずですが、このファンドは、基準価格が設定より安くなってしまって、出来た当初から保有をしている投資家が元本の欠損状態であるにも関わらず、設定時よりも高い分配金を無理して支払っています。
さらに、難点として手数料の高さが挙げられます。
買い付け手数料が3.24%で、保有時に年間かかっていく(基準価格の計算に含まれますので、目に見える手数料ではありません)運用管理費用が年間約1.65%、さらに先程も少し触れていますが、解約時にかかる手数料が0.3%と、どれも投資信託の中では大変高い部類に属します。
毎月の分配金を無理して支払っていることから安定した運用を行うことは難しく、さらにこれだけ高い手数料を払っては、なおさらコストの面からも投資成果を上げ辛い商品と言えます。
現状問題なく運用できているのは、長期的に円が安くなっているからであり、今後も続いていくかどうかは不透明です。
高い分配金利回りで人気になる商品が多いので、これも時代の流れではありますが、ある程度の投資歴があれば選ばない商品でしょう。
誰も元本の部分から分配金をもらっても喜びません。
保有を続け、買い増しまで行っている初心者投資家は少なくないでしょうが、もっと中身を見るべきです。
分析結果として、このファンドについては、買い付けの検討には値しないと判断します。
豪ドルの見通しが強気で、無理をしていたとしても高い分配金を得たいと思う投資家が買い付けするのを止めようとは思いませんが、今後その高い分配金が減る恐れの強いことはよく理解して頂きたいと思います。