2012年に初心者に人気だった投資信託


2012年は、ギリシャ危機に端を発する欧州財務問題や急激な株高・円安と、国内外共に大きく揺れ動いた1年でした。

さらに、ファンドの分配金の減額が相次ぎ、資産運用の観点から、今後の見通しが立てづらい状況となったため、投資信託も含めて、ポートフォリオの見直しをされた方が多い年でもありました。

このような経済状況の中、2012年において、人気の高かった投資信託ランキングを見てみると、上位にランクインしていたのは、日本の株式市場の動きに積極的に投資するファンド・リスクの低い日本国債、物価連動債に投資するファンド・高利回りの期待出来るREITなどのファンドでした。

中でも、ランキングで堂々の1位だったのが、初心者にも一番人気の高かった、インデックスファンドです。インデックスファンドは、日経平均株価の動きに連動しているため、値動きがわかりやすく、投資の失敗というリスクが非常に少ないのが魅力です。また、運用コストが低いため、長期での積立にも向いています。2012年は株価が上昇傾向にあったため、初心者の方も含めて、インデックスファンドに投資される方が一段と増えたのです。


日本国内のファンドは全体的に好調でしたが、海外REITファンドでは、分配金の減額が相次ぎました。

では、なぜ2012年に、多くの海外REITファンドで分配金が減額されたのかというと、リーマンショック以降、収益が著しくない中、多くのファンドが実力以上の分配金を支払い続けてきたため、世界的な低金利により、得られる利子配当収入の見込みが大幅に減少したことから、分配金の水準を実力に近付けようとする動きが起きたと想定されます。


このような理由から、海外REITファンドの分配金の減額が相次いでいる中でも、ブラジルに投資するファンドの人気は陰りを見せることなく、投資をされる方は後を絶ちませんでした。2012年のブラジルの情勢はというと、欧州の金融不安やギリシャの政局混迷の影響により、レアル安が続き、さらには、銀行による利下げが決定されるなど、投資条件が必ずしも良いとは言えない状況でありました。


しかし、利下げによるブラジルの金利は、先進国や他の新興国と比較しても高水準であったため、金利の水準の高さは、投資家にとっては大きな魅力だったのです。


また、今後、ブラジル国内の危機に対応する政策が実施され、欧州債務問題が収束への期待感が高まれば、ブラジル市場は上昇に転じることが期待されていたため、ブラジル市場が上昇することにより、長期的に好条件の投資となる可能性が十分に考えられました。


これらの理由から、投資家の多くは、ブラジルへの投資を続行したのです。


出来るだけリスクを抑えられる、ブラジルなどの金利の高いファンドに人気が集まったのが、2012年の特徴でもあります。確かに、2012年は、分配金の減額が相次ぎましたが、分配金が減額となったファンドは一部であり、ファンドによっては、高分配金を維持していました。それでも、分配金の減額に過剰な反応を見せる投資家が多く、投資の撤退が相次いだため、ファンドから資金が大量流出する結果となったのです。

高額の分配金に魅力を感じなくなったからではなく、分配金が減額されたという理由から、投資を撤退する動きが顕著に現れていたことからもわかるように、ほんのわずかな分配金の減額だけでも、投資をする側にとっては、大きな不安材料になるということです。


2012年の投資の動きは、これから投資信託を始められる、初心者の方にも、大変参考になると思います。常に変動し続ける経済状況を判断しながら投資を行うことが、大きなリスク回避につながることは間違いありません。



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ファンドマネージャーは東大出身。外資系金融機関で培った手法で手堅い運用を得意としている。金融のエリートで構成される資産運用会社。
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